番外編(川島雄三作品) NEW 2021.6.21
『還って来た男』A 川島雄三監督
1944年  松竹

本作に関する織田作之助の文章と脚本が掲載されているネットのページ


映画のラスト前、小谷初枝(田中絹代)の勤める国民学校の運動会。
そこでマラソン大会があり、飛び入りで中瀬古庄平(佐野周二)が参加する。
上記のシナリオにも映画の中の台詞にも「高津神社」までの往復とある。
映画の舞台の夕陽が丘、口縄坂界隈から高津神社までのマラソンの様子が描かれる。
戦時中の映画だが、なんとも長閑な雰囲気だ。

映画には「高津宮(高津神社)」の表参道と階段が映っている。
この場所もK氏に教えていただいた。
管理者は上方落語「高津の富」や「崇徳院」の舞台ともなる「高津宮」を一度だけ訪れたことがあるが、
本作のロケ地に登場しているとは気付かなかった。
今から77年前の映画だが、階段(下記グーグルMapB)はほとんど変わらない姿で残っている。
電信柱の位置も同じ。
成瀬監督も作品の中で実にいい場所をロケーションに選んでいるが、川島監督も同様だ。
センスがいいとしか言いようがない。

今回本作をあらためて観直してみたが、川島監督のデビュー作にして素晴らしい傑作だ。
川島監督が助監督に付いたことのある先輩監督・清水宏の「ほのぼのとした」作風を感じさせる。
そういえば、佐野周二は清水宏監督『花形選手』(1937 松竹)の軍事教練のシーンでも楽しそうに走っていた。
この後、川島監督は『天使を夢を見る』(松竹大船 1951)まで少し低迷期になってしまうのだが・・・

少し画質は悪いが、本作はYouTubeにアップされていて視聴可能。67分。


下記グーグルMap@(推定)

  



下記グーグルMapA

  


下記グーグルMapB

 



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